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整形外科

整形外科

整形外科は、骨、関節、神経、筋肉、靱帯、腱などの運動器官の疾患・損傷を診断して治療する分野になります。これらのどこかに異常があり正しく機能しなくなると、運動(歩く・走る・上り下り・ジャンプ)が正常にできなくなります。

異常の原因は?

骨折、脱臼、靭帯断裂、形成異常、腫瘍、神経疾患、免疫異常、感染症など様々です。
診断が遅れると治療が困難になる場合や、命に関わる病気もあります。

異常の原因は?

診断・治療の進め方

①問診       :症状についてご家族によく聞かせていただきます
②整形外科学的検査 :歩様検査・触診にて整形学的な異常がないかを確認します
③脳神経学的検査  :麻痺など神経学的な異常がないか確認します
④画像検査     :レントゲン、CT、MRI、関節鏡検査など
⑤追加検査     :血液検査、関節液検査、PCR 検査など
⑥確定診断     :原因の病気と治療の説明をさせていただきます
⑦治療       :ご家族とよく話し合って最善の治療を行います

整形疾患

骨折

トイ犬種(トイ・プードル、パピヨン、チワワなど)やイタリアン・グレーハウンドなどの骨格の細い犬種の子が落下や転倒の際に骨折する例が多くみられます。特に前肢の(橈骨・尺骨)の骨折が増えています

骨折の整復には、以下の大きく分けて3つの方法があります

・内固定    プレートやピンによる手術を行い、皮膚の内側で固定する
・外固定    ギブスなど。手術は通常必要なく、皮膚の外側で固定する
・創外固定   骨にピンを刺入し、皮膚の外側でピン同士を固定する

治療にあたっては、骨折部位や折れ方、飼育環境、性格、年齢などにより適切な固定方法を選択する必要があります。骨が治癒するまでには平均で2~3ヶ月かかりますので、この間は折れた骨が動かないように固定を行います

―ロッキングプレートシステム―
ロッキングプレートシステム

プレートにスクリューをロッキングさせて固定する新しいコンセプトのプレーティングシステムです。従来のプレートはスクリューでプレートを骨に押し付ける摩擦力によって固定性を得ていましたが、プレートの角度安定性によって骨折部を固定するため、プレートを骨に圧迫する必要がありません。骨癒合に重要な骨膜の血流を温存することが可能です。正確なベンディングを施さなくても整復位を維持したまま固定ができることによりスクリューのマイクロモーションを低減し、ルーズニングやバックアウトを防止する・従来型のプレートと比較して粗鬆骨における固定性の向上が期待できるなどの骨折治療に有利な点が多いシステムです。

―橈骨尺骨骨折―
―モンテジア骨折―
―肘頭骨折―

―脛骨骨折―
―足根骨の成長板骨折―
―大腿骨複雑骨折―
―大腿骨成長板骨折―
―下顎骨折―

前十字靭帯断裂

前十字靱帯とは

膝の安定性に大事な膝関節を構成する靭帯のひとつです。脛骨の前方への突出、内側への回転を抑制しています。この靭帯が部分的もしくは完全に切れてしまった状態が前十字靱帯断裂です。前十字靱帯断裂は、犬では一般的な整形外科疾患の一つです。

症状

前十字靭帯断裂を起こすと、急性断裂の場合では後足をあげたままの跛行や少しだけ足を地面につけての跛行が見られます。慢性化したものでは、足を引きずる跛行や立ったり座ったりの動作がつらそうな様子も見られます。前十靱帯の断裂後、体重が軽い犬の場合は症状が和らいで跛行が目立たなくなることもありますが、体重が重い場合には変形性骨関節症(DJD)を引き起こし、さらに症状が悪化することがあります。この病気は加齢に従っての発症がよく見られますが、大型犬種では若齢での発症も見られます。

原因

事故や激しい運動(フリスビー、ボール遊び)などによって急激な圧力が加わることだけが断裂の原因ではなく、犬においては靭帯自体が弱ってきて、自然に断裂していくことが知られています。また肥満や、膝蓋骨脱臼、骨の形成異常などがある場合も靭帯に負担がかかるために発症の要因となります。

検査

前十字靭帯が損傷しているかどうかはまず触診によって確認します。関節が腫れて膝の動きにぐらつきが見られたらそれと疑います。そしてレントゲン撮影を行い、実際に関節がずれているなどの所見により判定を行います。関節鏡やMRI などの装置を使ってさらに細かい検査を行うこともあります。

治療

前十字靭帯断裂の治療方法として、外科療法と保存療法があります。外科療法では、切れた靱帯の代わりに膝関節の動きを安定化するため、他の靭帯や人工靭帯で前十字靭帯を代用する方法(ラテラルスーチャー)や、骨を関節が安定する形に切除して位置を変更する方法(TPLO)を行います。保存療法では、安静にする、抗炎症薬を投与する、装具などして炎症が治まるのを待ちます。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは

膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨(膝のお皿)が滑車溝と呼ばれる溝から外れてしまう病気です。
膝の内側に外れる内方脱臼と、外側に外れる外方脱臼がありますが、その発生頻度は圧倒的に内方脱臼の方が高いです。
特に小型犬(トイ・プードル、パピヨン、チワワ、ポメラニアンなど)に多くみられます。先天性であることが多いため、4~5ヶ月齢から症状が起こることがあります。

症状

片足を時々挙げる、突然キャンといって足をあげる、時々足が突っ張っている、スキップをする、などの症状が認められる場合には早期にご相談下さい。

検査

身体検査とレントゲン検査によって、病気の状態(グレード)を確認します。変形が重度の場合はCT 検査により手術の計画を行う場合があります。

治療

治療には保存療法(痛み止めの薬・サプリメントなど)と外科療法(滑車溝の溝を深くする・脛骨粗面の位置を変える・張力のかかっている筋肉をリリースするなど)があります。年齢、病気の状態(グレード)、痛みの状態により適切に治療法を選択する必要があります。

レッグ・ペルテス病

レッグ・ペルテス病とは

大腿骨頭(ふとももの骨と骨盤とを連結している部分)の非炎症性無菌性壊死と定義されます。

原因

若い(特に成長期)小型犬に多くみられ、大腿骨頭への血流が阻害されることで骨頭が壊死をおこします。血流が減少する理由ははっきり分かっていません。

症状

後肢を痛がったり、かばって着地を避けるようになったり、股関節まわりを触られることを嫌がったりします。

治療

内科的治療(消炎鎮痛薬と休息による温存療法)が成功することは少なく、ほとんどの症例では、外科的治療(大腿骨頭および大腿骨頸の切除)を行なうことが多い病気です。
また、早期の良好な機能回復のためにも、手術後早期からのリハビリを行ないます。

肩関節脱臼

肩関節脱臼とは

肩関節の脱臼は犬で時々認められ、様々な方向への脱臼を起こす可能性がありますが内側に外れる内方脱臼が一般的です。

原因

先天性では内側の関節包や靭帯が緩く、関節の発育不全があることにより内側に外れていることが殆どです。外傷性は落下や事故などにより脱臼を起こすことが一般的ですが、トイ・プードルなどの犬種では少しの力で内側に脱臼を起こす傾向があります。

症状

肩関節に痛みが起き、前足を完全にあげてしまったり、歩き方の異常が認められたりするのが一般的です。また、肩関節不安定症という完全に脱臼はせずに肩に不安定が生じることで軽度の跛行を起こす疾患もあります。

治療

脱臼を戻した後に包帯を巻いて固定の治療もありますが、脱臼を繰り返してしまう場合や重度の脱臼では手術(人工靭帯・肩関節固定)による治療が必要になります。

股関節脱臼

股関節脱臼とは

股関節の脱臼は犬猫で度々認められ、様々な方向に脱臼を起こします。

原因

交通事故や落下などによる強い力がかかり脱臼が起こる外傷性の脱臼だけでなく、股関節形成不全・甲状腺機能低下症・クッシング症候群などが存在する場合には簡単な力で脱臼を起こす可能性があります。

症状

通常は股関節の痛みや歩行異常、足の挙上などを起こすことが一般的です。稀に慢性的な脱臼の場合には見た目上無症状の場合もあります。

治療

脱臼の方向により脱臼を戻した後に包帯を巻いて固定の治療もあります。脱臼を繰り返してしまう場合や股関節の形成不全や関節炎が重度の場合では外科手術を行います。手術には関節を温存する方法(関節包再建・トグルピン法・創外固定)と関節を残さない方法(骨頭切除・股関節全置換)による治療があります。

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンを積極的に受けつけていますので、歩き方が治らない、またはすぐ再発する、手術をしたが骨が癒合しないなど、病気の診断や治療への不安や疑問を持たれている方はお気軽に相談下さい。
現在治療中の方は、分かる範囲で構いませんので、今までの治療経過(お薬の内容など)のメモや検査結果のご用意をお願いします。診断、治療の参考になります。
またセカンドオピニオンは大変時間がかかる場合がありますので、事前にご連絡を下さい。必要に応じて予約診療とさせていただくことがあります。

セカンドオピニオン